【調査報告】

ドイツの廃棄物研究事情

河 村 清 史*・大 迫 政 浩*・杉 山 涼 子**・栗 原 和 夫**

【要 旨】 ドイツにおける廃棄物研究事情の一端として,四つの研究機関,民間のハイデルブルグエネルギー・環境研究所(ifeu),バイエルン州廃棄物研究所(BIfA),ハンブルグ-ハーブルグ工科大学(TUHH)の廃棄物管理学科および環境工学科における廃棄物管理に係る研究活動について,現地視察とヒアリングで得た情報を基に紹介する。ifeuとBIfAにおける研究課題からは,ドイツおよびバイエルン州における研究に対する行政上のニーズをある程度把握することができる。また,いずれの機関においても,現在および今後の廃棄物管理においてエコバランス(LCAとほぼ同義)の概念およびそれに基づいたアプローチを重要なものとして認識している。TUHHの廃棄物管理学科と環境工学科では,固形廃棄物の埋立てにおける物理・生物的前処理やその処理・処分における地球化学的アプローチなど,新しいいくつかの試みが進められている。

キーワード: ドイツ,バイエルン州,廃棄物研究,物理・生物的前処理,地球化学的アプローチ

廃棄物学会誌,Vol. 9, No.1, pp.66-76, 1998

原稿受付 1997.9.26

* 国立公衆衛生院廃棄物工学部

** (株)杉山・栗原環境事務所

連絡先:〒108-8638 東京都港区白金台4-6-1

国立公衆衛生院廃棄物工学部 廃棄物計画室長 河村清史