電解法によるホタテガイ廃棄物からのカドミウム除去
作 田 庸 一*・富 田 恵 一*・若 杉 郷 臣*・斎 藤 隆 之*・長 野 伸 泰*
【要 旨】 ホタテガイ加工工場から大量に排出される貝柱以外の中腸腺などの軟体部を飼肥料として有効利用するために,これら中腸腺に含まれるカドミウムなどの重金属含有量を調べるとともに,酸浸漬―電解法によるカドミウム除去技術について検討した。その結果,ホタテガイ中腸腺中のカドミウム濃度は他の部位と比較すると際だって高く,春先は比較的低いが成長に伴い増加傾向を示し,8〜10月頃に最高値を示す。この含有量は飼肥料の重金属含有量規制値を大幅に上回り,このまま乾燥物にしても飼肥料として有効利用できないが,これら中腸腺中のカドミウムはpH1以下の酸に浸漬すると容易に浸出し,さらに電解を併用することにより1工程で飼肥料として利用可能な1mg/kg(乾重量あたり)程度まで除去可能であることが判った。
キーワード: ホタテガイ中腸腺,カドミウム,除去技術,飼肥料,電解
廃棄物学会論文誌,Vol. 9, No.2/3, pp.61-68, 1998
原稿受付 1997.6.13
* 北海道立工業試験場
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北海道立工業試験場化学技術部 作田 庸一