災害廃棄物収集運搬システムの開発におけるモデル化とシミュレーション
古 市 徹*・長谷川 誠**・菅 しのぶ***・橋 詰 博 樹****・小 林 康 彦****
【要 旨】 震災後の混乱した状況下で,従来試行錯誤的に行っていた災害廃棄物(ガレキ等の震災廃棄物)の収集運搬を改善するために,本研究では計画的な運用管理を支援する収集運搬システムの開発を試みた。混乱した状況下では,定量的な運用管理,情報の錯綜防止,および迅速な判断が求められることから,システムの開発においては,視覚的な情報に基づいて運用管理の意思決定ができるようにした。その方法として,実態を反映した上で物質収支および収集運搬モデルを構築し,コンピューターシミュレーションによって,定量的な情報を提供できるようにした。また,データの入力部分,およびシミュレーション結果の出力部分に地理情報システムを援用することによって,混乱した状況下において,収集運搬の運用に必要な道路状況やシミュレーション結果を容易に理解できるようにし,意思決定を行う際の利用勝手を向上させることができた。本論では特に,運用管理を支援するシステムの開発プロセスをモデル化とシミュレーションに重点を置いて具体的に示した。
キーワード: 災害廃棄物,収集運搬,シミュレーション,地理情報システム,運用支援
廃棄物学会論文誌,Vol. 9, No.2/3, pp.69-78, 1998
原稿受付 1997.2.5
* 北海道大学大学院工学研究科 教授
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北海道大学大学院工学研究科 廃棄物管理工学研究室 古市 徹