【論  文】

アルミ・銅の風力選別における性能の基礎特性およびその向上

吉 田 卓 弥*・小 関 康 雄*・福 本 千 尋**・小 泉 達 也**

【要 旨】 物質を比重差によって選別する方法として,風力選別法は,低コストで取扱いが簡易な反面,選別性能が安定しないのが欠点であった。廃家電品リサイクルプラントにおけるアルミおよび銅の風力選別性能の向上を目的として,回収率におよぼす被選別物粒子の形状の影響を検討し,これにもとづく改良試験を行い,以下の結果を得た。板形状サンプルでの試験により,風力選別装置での被選別物の挙動が,粒子形状のうち,特に厚みに依存することを見出した。またこの特性を,計算による考察で確認した。すなわち,模擬板と投影面積の等しい等価球を考え,粒子が飛散する風速をその終末沈降速度式によって予測したところ,計算値は実績値と比較的よく一致した。以上の知見をもとに,被選別物を厚さ1mmまたは2mmに圧延して風力選別することにより,最大回収率を従来の87%から98〜99%に向上できた。

キーワード: リサイクル,風力選別,銅,アルミ,廃家電品

廃棄物学会論文誌,Vol. 9, No.2/3, pp.95-103, 1998

原稿受付 1996.12.18

* (株)日立製作所 日立研究所 エネルギー・環境研究部

** (株)日立製作所 機電事業部 環境システム部

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(株)日立製作所 日立研究所 エネルギー・環境研究部 吉田 卓弥