【特 集 :残留性有機汚染物質(POPs)】

廃油関連廃棄物中の残留性有機汚染物質(POPs)の分析方法について

野 馬 幸 生*

【要 旨】 残留性有機汚染物質のうち緊急対応の対象となっているPCBs,有機塩素系農薬,ダイオキシン類の廃油中の分析法について,PCBsにおけるクリーンアップ法と測定法を中心にまとめた。測定法としては,低分離能のパックドカラム装着のGCとECD(LRGC/ECD法),高分離能のキャピラリーカラム装着のGCとECD(HRGC/ECD法),高分離能のキャピラリーカラム装着のGCと低分解能のMS(HRGC/LRMS法),高分離能のキャピラリーカラム装着のGCと高分解能のMS(HRGC/HRMS法)の4つの方法が用いられているが,いずれの方法においても廃油中の微量分析には,クリーンアップ操作が最も重要である。油の種類により除去すべきマトリックスは異なるため,各クリーンアップ操作により除去しうる物質を整理して示した。4つの測定法には,正確性を第一とする方法と,迅速性,簡便性を優先する方法とがあり,目的や定量限界に応じて使い分ける必要がある。正確性の高い測定法と迅速性のある測定法との相互比較を行うことにより,汎用的な機器測定時における精度を保証できるデータの蓄積と評価が今後の課題である。

キーワード: 廃油,クリーンアップ,PCBs,有機塩素系農薬,ダイオキシン

廃棄物学会誌,Vol. 9, No.3, pp.247-262, 1998

原稿受付 1998.1.30

* 広島県保健環境センター 主任研究員

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