都市ごみ焼却におけるPCDDs/DFsのマテリアルフローに関する研究
酒 井 伸 一*・鵜 飼 隆 広*・浦 野 真 弥*・高 月 紘*・中 村 一 夫**・木 下 小百合**
【要 旨】 都市ごみ焼却におけるPCDDs/DFsのマテリアルフローを把握することを目的とし,京都市の都市ごみ焼却施設についてPCDDs/DFsの流入量と排出総量(排ガス,飛灰,主灰から排出される量の合計)を測定・推測した結果,流入量が1.4〜50μgTEQ/ごみton,排出総量が160μgTEQ/ごみtonとなり,排出総量が流入量を大きく上回っていること,特に飛灰形態での排出が多いことがわかった。また,削減シナリオを設定し,排出総量を試算したところ,ガイドラインで定められている目標値レベルまで削減を行った場合には排出総量が新設炉で3.65μg TEQ/ごみton,既設炉で34μg TEQ/ごみtonまで削減できることが確認された。さらに,溶融固化処理・加熱脱塩素化処理といった灰の高度処理を付加した場合の削減効果を試算したところ,0.85〜4.6μg TEQ/ごみton程度まで排出総量を削減できることが確認された。
キーワード: ダイオキシン類(PCDDs/DFs),都市ごみ,排出総量,マテリアルフロー,ごみ組成,RDF
廃棄物学会論文誌,Vol. 9, No.4, pp.123-132, 1998
原稿受付 1997.7.28
* 京都大学環境保全センター
** 京都市清掃局
連絡先:〒606-8501 京都市左京区吉田本町
京都大学環境保全センター 助教授 酒井 伸一