【論  文】

スラグ作成条件の品質におよぼす影響

白 子 定 治*・曽 山 照 明*・花 嶋 正 孝**・田 中   勝***

【要 旨】 ごみ焼却残渣溶融スラグを骨材として用いてモルタルを作成した場合,水素ガス等を発生し,製品に悪影響をおよぼすことがある。このため,焼却残渣の種類,溶融温度,炉内滞留時間を変化させルツボ内でスラグを作成し,モルタル作成時体積膨張量を測定した。この結果,モルタルの膨脹は,焼却残渣の種類に大きく依存し,スラグ作成時の溶融温度と炉内滞留時間を制御することにより抑制できることが判明した。水素ガス等の発生機構を想定するため,溶融条件の異なるスラグ内元素と水素発生量との関連性を検討したところ,アルミニウム含有率とモルタル作成時の膨張量との間に強い負の相関が見られた。

キーワード: 水素発生,焼却残渣,スラグ,モルタル,高温溶融

廃棄物学会論文誌,Vol. 9, No.4, pp.133-140, 1998

原稿受付 1997.8.11

* 東京都清掃研究所

** 福岡大学工学部

*** 国立公衆衛生院廃棄物工学部

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