【論  文】

石炭灰の蒸気処理による固化体の安定性に関する研究

柴 田 泰 典*・小 笹 和 夫**・廿 楽 和 夫***・泉   秀 俊****

【要 旨】 石炭灰はセメント原料やセメント混和材などに約65%利用されているが,品質に変動があること,微粉であること,Cr6+やPbなどの溶出が土壌環境基準を越えることがあるなどにより,未処理では利用率向上に限界がある。石炭灰のポゾラン反応性を活用し,水にて混練後,常圧の飽和水蒸気雰囲気下で処理を行って固化させ,破砕することにより,40mm以下の粒状の固化体を製造した。それにて路盤材などの土木資材としての大量利用技術を具体化するために,環境に対する安定性,品質における安定性に関する研究を行った。蒸気処理で固化させることにより,エトリンガイトなどの水和物が生成し,路盤部環境では長期に渡って,有害物の溶出量が土壌環境基準を満足することを確認した。さらに,固化体の強度が経時的に向上し,代表的な路盤材である粒度調整砕石と同等以上の品質を長期に渡って保持することを確認した。

キーワード: 石炭灰,蒸気処理,固化体,安定性,路盤材

廃棄物学会論文誌,Vol. 9, No.4, pp.157-163, 1998

原稿受付 1997.11.7

* 川崎重工業株式会社

** 財団法人石炭利用総合センター

*** 鳴門塩業株式会社

**** 日本鋪道株式会社

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川崎重工業株式会社 柴田 泰典