【特 集 :再考,容器包装廃棄物】

ヨーロッパにおける最近の容器包装規制政策の動向

郡 嶌   孝*

【要 旨】 本稿では,欧州における廃棄物政策の基本的な考え方の変遷を概説した。欧州の廃棄物政策のキーコンセプトは「拡大生産者責任」政策と「環境政策と経済競争政策の調和」にある。拡大生産者責任は,汚染者責任の原則に基づいて従来の生産プロセスにおける環境責任からさらに消費プロセスでの製造物責任(欠陥製品による損害責任),処理プロセスでの潜在的関係者原則に基づく土壌汚染等の損害責任や現状回復責任,さらには,リサイクルプロセスでの回収・選別義務(テイクバック義務),再生(再商品化)義務,再利用義務(ミニマム・コンテント)にまで展開されている。一方,環境の品質競争をしているがゆえに価格競争や品質競争をしなくてもよいということではなく,これら三つの競争を両立させることが「環境と競争政策」の課題といえよう。

キーワード: 拡大生産者責任,環境と競争政策,廃棄物管理戦略,予防原則

廃棄物学会誌,Vol. 9, No.4, pp.283-290, 1998

原稿受付 1998.5.14

* 同志社大学 経済学部 教授

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同志社大学 経済学部