【特 集 :再考,容器包装廃棄物】

廃棄物の処理とリサイクルの展望――資源循環型社会へ向けて――

永 田 勝 也*

【要 旨】 産業公害から都市・生活型さらには地球規模の環境問題へという時代の潮流のなかで,資源有限性に加えて自然の浄化能力の有限性が一般の人々にも強く認識されるに至った。廃棄物問題は,まさにこの両者に深く関係したきわめて身近な社会問題であって,現在ではかなり深刻な事態になっていると認識され,抜本的解決が強く求められている。こうした情勢は,程度の差こそあれ先進諸国に共通であって,いずれの国でも循環型社会の構築が国をあげての目標に掲げられている。社会が豊かになるにつれ,その価値規範はモノの価値の相対的低下と環境の価値の相対的上昇という変化をみせる。したがって廃棄物問題でみれば,量が増加する一方で処理・処分体制がそれに対処できないというパラドックスに行きつく。こうした点を根本的に解決しようとするのが,循環型社会の目標である。ここでは,わが国の廃棄物問題の現状を述べるとともに,今後の方向性を社会システム,制度ならびに技術の視点から考察する。

キーワード: 廃棄物処理,リサイクル,制度,持続可能な社会,生産システム

廃棄物学会誌,Vol. 9, No.4, pp.291-301, 1998

原稿受付 1998.5.7

* 早稲田大学理工学部 教授

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