気流模型によるごみ焼却炉内のガス流動および混合に関する研究
――第2報 コールドモデルにおける模擬反応実験――
角 田 芳 忠*・田 中 信 壽**
【要 旨】 ごみ焼却炉内の流動現象に関する基礎的研究として,前報のシャボン玉による可視化実験に引き続き,一酸化窒素(NO)とオゾン(O3)の反応を利用して気流模型における混合・反応に関する実験を行った。気体トレーサNOの定常分布を実験的に求め,乾燥帯・燃焼帯・後燃焼帯からのガス流れが燃焼室内でどのように広がるかについて評価し,焼却炉形状・二次空気噴流などの設定条件が燃焼室での混合特性にどのように影響するかを明らかにした。さらに,各帯からNOとO3を注入して実際に反応を起こさせ,反応率を求めて反応の面からも燃焼室での混合特性について検討した。反応率と混合の程度を表す指標である重なり度との間に強い相関関係が見出され,ごみ燃焼室内での反応において混合が最も重要であることが示唆された。本研究で蓄積した基礎的実験データは,可視化実験データとともに熱流動数値シミュレーションの有効性を検証する上で有効である。
キーワード: ごみ焼却炉,ストーカ炉,気流模型,模擬反応実験,トレーサ分布
廃棄物学会論文誌,Vol. 9, No.5, pp.171-180, 1998
原稿受付 1997.10.8
* (株)タクマ 環境プラント本部環境計画第1部(北海道大学大学院工学研究科博士後期課程社会人学生)
** 北海道大学大学院工学研究科廃棄物資源工学講座
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(株)タクマ 環境プラント本部環境計画第1部 角田 芳忠