都市ごみ焼却飛灰からの藻類生長阻害成分の溶出に対する溶出条件の影響
金 子 栄 廣*
【要 旨】 都市ごみ焼却飛灰の溶出毒性を藻類生長阻害試験によって評価するための溶出操作条件(固液比とpH)の影響について検討した。pH=7に設定し固液比10w/v%および1w/v%で作成した溶出液の毒性を比較した結果,溶出液の毒性は前者の方が5倍大きかったが,単位飛灰量あたりに溶出する毒性で比べると後者の方が2倍大きくなった。また,いずれの場合もその毒性への寄与が大きい金属は亜鉛で,固液比10w/v%の場合は毒性の61%,固液比1w/v%の場合は44%を占めているものと推察できた。固液比1w/v%に設定しpHを4,7および12にそれぞれ設定して作成した溶出液の毒性の比較では,pH=4のものが最も強い毒性を示した。pH=4の場合もpH=7の場合と同様に毒性の44%が亜鉛によるという点では共通していたが,pH=12の溶出液の場合はその毒性の93%を鉛が支配しているものと考えられた。以上のことから,焼却飛灰の管理に際して藻類への影響を考慮した場合には,亜鉛および鉛の挙動に注意を払う必要があることが示唆された。
キーワード: 藻類生長阻害試験,溶出毒性,焼却飛灰,重金属,溶出条件
廃棄物学会論文誌,Vol. 9, No.6, pp.240-245, 1998
原稿受付 1998.2.2
* 山梨大学工学部土木環境工学科 助教授
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山梨大学工学部土木環境工学科 金子 栄廣