海面埋立処分場の立地選定評価へのλファジィ測度法の適用
古 市 徹*・田 中 秀 和**
【要 旨】 近年廃棄物の増加により,陸上埋立処分が用地不足のため困難になっている。そのため広域海面埋立処分の動きが高まっている。本研究では,環境・経済等に関する定量的・定性的な問題(評価要因)を含んでいる海面埋立処分場・積出基地の立地代替案選定問題に対して,住民を交えて評価・選定をおこなう手段を構築することを目的としている。具体的には,住民の多様な評価視点を考慮した代替案の評価をおこなう。そのため,評価代替案の総合評価をする手法として,λファジィ測度とファジィ積分を結合したλファジィ測度法を用いる評価法を新たに提案した。これによって,特長のある代替案を高く評価したり,欠点のない代替案を高く評価したりでき,多様な評価視点を考慮した評価が可能である。また,その準備として,評価要因に対するウェイトや評価得点の算出の手法としてAHPを用いた。そして,本研究の評価手法を実際の立地選定問題に適用し,立地代替案の評価・選定をおこなうことにより,本手法の有効性を示した。
キーワード: 立地選定,住民参加,評価視点,AHP,λファジィ測度法
廃棄物学会論文誌,Vol. 9, No.6, pp.246-255, 1998
原稿受付 1998.3.26
* 北海道大学大学院工学研究科 教授
** 日本電信電話株式会社
連絡先:〒060-8628 北海道札幌市北区北13条西8丁目
北海道大学大学院工学研究科 環境資源工学専攻
廃棄物管理工学研究室 古市 徹