【特 集 :廃棄物問題をめぐる法制度の展開】

リサイクルの総合法制の方向

大 塚  直*

【要 旨】 近時,個別のリサイクル推進法が制定されたが,その特徴は再商品化ないし,引き取りおよび再商品化について事業者の責任としたことにある。わが国の廃棄物・リサイクル問題の原因は,(1)物質循環の輪からはずれて廃棄物となることによる環境負荷の増大,(2)廃棄物でなくなることにより生ずる環境保全対策の抜け道の存在,(3)上流での対策の不十分,(4)最終廃棄物の受入先の減少にあるが,廃掃法とリサイクル法の2本立てがこれらの問題を生じやすくさせている。その解決のためには,「目標の設定→実行→達成状況のフォロー→新たな目標の設定」というプロセスを総合的に進める枠組法を制定すべきである。その際,製造者には,製造物を環境適合的方法でリサイクル・処分しうるよう設計する義務,使用済み製品の引取義務を課し,質的又は量的に環境負荷が高く,通常のシステムではリサイクル困難なものについては無償の引取を義務づけるのが適当である。

キーワード: 製造者責任,汚染者負担原則,容器包装リサイクル法,家電リサイクル法,引取義務

廃棄物学会誌,Vol. 9, No.6, pp.413-423, 1998

原稿受付 1998.8.19

* 学習院大学法学部教授

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