【特 集 :廃棄物問題をめぐる法制度の展開】

産業廃棄物処理をめぐる法制度の現状と課題

村 田 哲 夫*

【要 旨】 昭和45年に廃棄物処理法が制定され,産業廃棄物の処理は事業者の責任とされた。しかし,廃棄物処理法は,産業廃棄物の処理に問題が起るたびごとに,規制が強化されている。最近産業廃棄物の不適正処理や不法投棄により環境の汚染が惹起されるとして,住民と廃棄物処理業者さらには行政との紛争が各地で発生している。廃棄物処理法は,こうした問題を解決するために平成9年大幅な改正をみた。しかしこの改正は必ずしも充分でなく,また新たな問題を生じさせている。資源循環型社会を構築するためには廃棄物処理という下流対策のための法制度ではなく,リサイクル・廃棄物処理を一体とした新たな法律案が必要である。その際の視点としては行政改革および地方分権である。

キーワード: 再生利用の認定の特例,産業廃棄物処理施設の許可,マニフェスト制度,原状回復システム,行政改革・地方分権

廃棄物学会誌,Vol. 9, No.6, pp.424-433, 1998

原稿受付 1998.8.18

* 大阪学院大学法学部 教授

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