【特 集 :廃棄物問題をめぐる法制度の展開】

産業廃棄物行政と情報開示・提供

北 村 喜 宣*

【要 旨】 1997年に改正された廃棄物処理法は,それまでの産業廃棄物処理に対する不信感を払拭することを,最大の目的としている。それにあたって,重要な機能を果たすのが,情報である。改正法は,生活環境影響調査書と許可申請書,処理施設の維持管理記録を利害関係者に公開するように求めた。しかし,これだけでは,信頼の回復には不十分である。改正法の対応以外にも,不信感を緩和する対応は考えられる。列挙すれば,許可理由の開示,許可業者に関する情報の提供,行政指導・行政命令文書の公開,専門家に関する情報の公開,立入検査・指導日誌の公開である。これらは,第一次的には知事が職権ですることが望ましいし,情報公開条例に基づく開示請求が出された場合でも,原則として,全面開示の方向で対応すべきである。

キーワード: 1997年改正廃棄物処理法,生活環境影響調査,情報公開,行政執行,不信感

廃棄物学会誌,Vol. 9, No.6, pp.434-443, 1998

原稿受付 1998.8.24

* 横浜国立大学経済学部 助教授

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