各種農畜産廃棄物の嫌気性消化処理におけるメタンガス発生量
加 藤 明 徳*・野 池 達 也**
【要 旨】 各種農畜産廃棄物の調査,廃棄物からのメタンガス発生量の検討,ならびに嫌気性消化処理プロセスのケーススタデイを行った結果,次のことが明らかとなった。豚糞尿,牛糞尿,鶏糞,豚内臓,稲わら,みかん絞り粕等が処理対象として適当であった。特に,みかん絞り粕,稲わら等は冬期のエネルギー源確保に有効であると判断した。また,メタンガス発生量の検討結果を基に,豚飼育数35,000頭規模,肉牛飼育数1,500頭規模,豚内臓4.2ton,みかん絞り粕30tonを1日の処理対象としたケーススタデイを行い,次の結果を得た。メタンガス発生量は,冬期で約8,400Nm3/dが得られ,余剰メタンガスとして6,400Nm3/dが有効利用可能である。これは灯油換算で約6,600l/dに相当する。消化設備から排出される脱離液は約300m3/dとなり,浄化処理や液肥としての有効利用を検討する必要がある。消化汚泥の発生量は約60ton/dで,良質の堆肥として有効利用できる。
キーワード: 農畜産廃棄物,嫌気性処理,メタン,豚糞尿,牛糞尿
廃棄物学会論文誌,Vol. 10, No.1, pp.1-8, 1999
原稿受付 1997.12.26
* 住友重機械工業株式会社 環境技術研究所 主任研究員
** 東北大学大学院工学研究科土木工学専攻 教授
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住友重機械工業(株)環境技術研究所 加藤 明徳