【特 集 :埋立処分基準】

水質環境基準の見直しと埋立処分

中 杉 修 身*

【要 旨】 わが国では人の健康および生態系の保護の観点から水質環境基準が設定されており,それを達成する手段の1つとして水質環境基準項目が多量に溶出する廃棄物について無害化処理あるいは遮断型処分場への処分が求められている。今回,要監視項目の調査結果に基づいてホウ素,フッ素と硝酸性窒素および亜硝酸性窒素の3項目が新たに水質環境基準項目に加えられた。これらの項目についても廃棄物の埋立処分の規制が必要になると考えられるが,これらの項目は従来の水質環境基準項目とは異なる特徴を有しており,その特徴を考慮した規制が必要と考えられる。今後も水質環境基準の継続的な見直しが行われ,それに応じて規制項目も増えていくと考えられるが,それに伴ってモニタリングなどに要するコストが増大することから,将来的にはバイオアッセイ手法などを組み合わせた埋立廃棄物の効率的な管理が必要になると考えられる。

キーワード: 水質環境基準,要監視項目,埋立処分,浸出水

廃棄物学会誌,Vol. 10, No.2, pp.128-137, 1999

原稿受付 1999.2.25

* 国立環境研究所化学環境部長

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