【特 集 :埋立処分基準】

土壌環境の保全と埋立処分

藤 倉 まなみ*

【要 旨】 土壌汚染は蓄積性の汚染である。このため,土壌汚染の対策は未然防止対策と回復対策にわかれる。またその目標は土壌環境基準である。廃棄物処理法の埋立処分基準の強化は土壌汚染の未然防止に大きな役割を果たしている。廃棄物の最終処分場は汚染物質を意図的に一般環境から区別して封じ込めている場所であるので土壌環境基準は適用除外されている。新たに廃止基準が導入されたが,廃止後の処分場が一般環境から区別する機能を維持していれば同じく適用除外となる。汚染土壌の回復対策は第一に浄化,少なくとも曝露経路の遮断が基本である。市街地の土壌汚染対策については本年1月に土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針を改定し,浄化を位置づけたが,基本は廃棄物処理法の埋立処分基準にならっている。また土壌中のダイオキシン類についても検討を進めているところである。

キーワード: 土壌汚染,環境基準,埋立処分基準,廃止基準,調査・対策指針

廃棄物学会誌,Vol. 10, No.2, pp.138-146, 1999

原稿受付 1999.2.17

* 環境庁水質保全局土壌農薬課 課長補佐

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