【総  説】

残留性生物濃縮性毒性化学物質

のバイオアッセイによるリスク評価

――内分泌攪乱化学物質問題の周縁――

小 野 芳 朗*・山 田 正 人**

【要 旨】 内分泌攪乱化学物質をはじめとする有害な化学物質が廃棄物処理・処分システムで検出される。これらのリスクを評価し,管理するための方法論を提示した。まず,化学物質がヒトにおよぼす影響を確定するためには,古典的なリスクアセスメントを実施し,規制値をつくっていかねばならないことをU.S. EPAの例示をしながら解説した。そして,廃棄物システムにおけるリスク管理の優先性を決めるために,残留性,生物濃縮性そして毒性を有する化学物質のスコアリングによる選択法をEPAの提案から紹介し,さらにわが国における文献上知られた処分場浸出水中の有害化学物質のリストアップを図り,モニタリングの重要な物質を示した。さらに,環境試料のような混合物中に含まれる未知の毒性物質の評価法に関して早期警戒システム,ガイドラインとしてのバイオアッセイの適用性を論考した。

キーワード: リスクアセスメント,残留性,生物濃縮性,毒性,ガイドライン

廃棄物学会誌,Vol. 10, No.2, pp.156-169, 1999

原稿受付 1999.2.22

* 岡山大学環境理工学部

** 国立公衆衛生院廃棄物工学部

連絡先:〒700-8530 岡山市津島中2-1-1

岡山大学環境理工学部 助教授 小野 芳朗