埋立廃棄物のごみ圧に関する基礎的研究
島 岡 隆 行*・竹 崎 聡**・大 山 武 志***・花 嶋 正 孝*・平 井 貴 雄****・水 田 邦 憲*****
【要 旨】 廃棄物最終処分場における基礎地盤,構造物,埋立廃棄物の安定性を検討するためには,埋立廃棄物により発生する力を把握しておかなければならない。特に,構造物に作用するごみ圧は,合理的な構造物の設計を行う上で重要である。本研究では埋立廃棄物の圧力伝達メカニズムを明らかにするために,焼却灰,不燃性破砕ごみ,混合ごみを対象として,地盤形状の異なる2つの土槽を用いたごみ圧に関する実験を行った。その結果,水平ごみ圧は廃棄物の種類によっては載荷圧力と比例せず,高さ方向のごみ圧分布は廃棄物によって異なる分布形状を示した。ごみ圧は土圧とは異なり経時的に変化し,しかも明白な主働状態を示さなかった。静止ごみ圧係数は焼却灰0.38〜0.46,不燃性破砕ごみ0.27〜0.38,混合ごみ0.34〜0.62を示し,また廃棄物の粒度による分類からはこの係数を推定できないことがわかった。廃棄物の圧力伝達特性は,ポアソン比の概念を用いて説明できることが示唆された。
キーワード: 最終処分場,埋立廃棄物,ごみ圧,圧力伝達,静止ごみ圧係数
廃棄物学会論文誌,Vol. 10, No.3, pp.123-132, 1999
原稿受付 1998.4.6
* 福岡大学工学部
** 福岡大学工学部(現在,(株)大林組)
*** 福岡大学工学部(現在,三井石化産資(株))
**** 三井石化産資(株)商品技術研究所
***** 三星産業(株)土木資材部
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福岡大学工学部土木工学科 島岡 隆行