冷蔵庫断熱材からのフロン回収装置の開発
木 村 信 夫*・小 杉 高 生**・藤 森 幹 治*・上 田 博 信*・高 村 義 之*
【要 旨】 欧州ではオゾン層保護の観点から発泡断熱材中のフロンの回収が既に行われている所がある。一方,わが国では現時点で断熱材中のフロンの回収までは行われていないが,回収の必要性は高まっている。そのため筆者らは,これまで実験プラント等を用いて,わが国で廃棄されるような大形冷蔵庫(内容積300lクラス)も処理できる廃冷蔵庫断熱材からのフロン回収装置の開発を進めてきた。そしてこれらの成果をもとに平成8年,実証プラント(冷蔵庫処理量50台/h)を(財)家電製品協会の環境特別事業として神奈川県秦野市に建設し,実証試験を行った。その結果,フロン回収量は廃冷蔵庫1台あたり400g程度であること,フロン含有率が既知の標準パネル実験ではフロン回収率は90%以上であることが明らかになり,断熱材フロンの回収装置の実用化が図られた。
キーワード: 発泡プラスチック,ウレタン,フレオン,冷蔵庫,回収装置
廃棄物学会論文誌,Vol. 10, No.3, pp.160-169, 1999
原稿受付 1998.5.6
* (株)日立製作所 笠戸工場
** (財)家電製品協会
連絡先:〒744-8601 山口県下松市東豊井794
(株)日立製作所 電力・電機グループ 笠戸開発センター 木村 信夫