【論  文】

高速液体クロマトグラフィーを用いた水飽和土壌カラムの物理化学的特性測定装置の開発

小 野 雄 策*・田 中 信 寿**

【要 旨】 埋立地から溶出してくる化学物質を土壌層にて浄化捕捉するための浄化システムを設計するためには,土壌の持つ吸着・脱着・分散・イオン交換等の物理化学的なパラメーターを測定できる装置が必要である。そのため,HPLC概念を用い,固定相として自然土壌を充填し,溶離液として水などを流して,土壌層で起こる化学物質の移動速度等を定量化できる装置を開発した。特に,HPLCに用いる土壌カラムは目詰まりを起こしたり通水不能となるため,パスカルの原理を利用して,HPLCポンプから水を流しながらカラムの出口に取り付けたストップバルブを開閉し,圧力を多軸方向にかけることにより土壌粒子を均一に充填する自然土壌のカラム充填方法(間欠密閉圧縮充填法)を開発した。この装置を用いて,各種の土壌カラムにおける完全飽和浸透流実験を行い,化学物質の土壌分配係数や透水係数が測定できることを示した。

キーワード: 高速液体クロマトグラフィー(HPLC),自然土壌カラム間欠密閉圧縮充填法,完全飽和浸透流,土壌分配係数,飽和透水係数

廃棄物学会論文誌,Vol. 10, No.3, pp.170-179, 1999

原稿受付 1998.10.23

* 埼玉県公害センター廃棄物部

** 北海道大学大学院工学研究科

連絡先:〒338-0824 埼玉県浦和市上大久保639-1

埼玉県公害センター廃棄物部 小野 雄策