【調査報告】

都市廃棄物の嫌気性消化――現 状 と 課 題――

四 蔵 茂 雄*・原 田 秀 樹*

【要 旨】 都市廃棄物の嫌気性消化は,廃棄物管理の観点からはもちろん,エネルギー政策的にも極めて有望な技術である。本報告では,都市廃棄物を対象としたこの技術の現状を整理するとともに,わが国での普及に必要な課題について検討した。概に西欧諸国を中心に多くのプラントが運転・建設中であることを示し,さらに実用化されている代表的なプロセスの特徴を整理した。また西欧諸国の現地調査の結果を参考に,わが国においてこの技術を普及させるためには,適切な技術の選択と支援体制の確立,経済的自立が必要であることを述べた。特に政府の積極的な取り組みが重要であることを指摘した。

キーワード: 都市廃棄物,嫌気性消化,バイオガスプラント,エネルギー政策,デンマーク

廃棄物学会誌,Vol. 10, No.3, pp.241-250, 1999

原稿受付 1998.12.1

* 舞鶴工業高等専門学校

** 長岡技術科学大学

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