【論  文】

溶存性フミン物質の共存下におけるPCDDs/DFsの水溶解度に関する考察

金   容 珍*・大 迫 政 浩**・李   東 勲*

【要 旨】 既存研究から合計94個の有機化合物のオクタノール/水分配係数(Kow),水溶解度(S0),溶存性フミン物質との結合係数(Koc)に関するデータを選別,整理して各物性値の間の相関関係を提示した。それらの相関関係を基にして,有機汚染物質の帯水層における移動性に対して溶存性フミン物質が共存するときの影響を総括収着係数で評価した場合,Kocが大きくなるほど有機汚染物質の収着率は急激に小さくなり,溶存性フミン物質の影響が大きいことが予想された。また,PCDDs/DFsの水溶解度は,溶存性フミン物質の共存下で塩素数が増加するほど,すなわちKowとKocが増加した化合物(同族体)ほどその増加割合が高くなって,PCDDsとPCDFsを比較した場合は,PCDDsがPCDFsより溶存性フミン物質の影響を強く受ける可能性があると考えられた。

キーワード: 溶存性フミン物質,オクタノール/水分配係数(Kow),水溶解度(S0),結合係数(Koc),PCDDs/DFs

廃棄物学会論文誌,Vol. 10, No.4, pp.214-223, 1999

原稿受付 1998.12.22

* 韓国ソウル市立大学校環境工学部

** 国立公衆衛生院廃棄物工学部

連絡先:〒130-743 韓国ソウル市東大門区典農洞

ソウル市立大環境工学部廃棄物研究室 金  容珍