【論  文】

超臨界水湿式酸化分解における生ごみの反応性

金   放 鳴*・木 下   睦*・榎 本 兵 治*

【要 旨】 生ごみを構成する食物の湿式酸化分解性および反応パラメータ(反応時間・温度,供給酸素量および水充填率等)の影響について知見を得ることを目的とし,22種類の試料について,バッチ式小型反応容器を用い,超臨界水湿式酸化分解実験を行った。植物性生ごみは酸化されやすく,種類による酸化分解のしやすさの相違はほとんどみられなかった。動物性生ごみ(魚を含む)も酸化分解されるが,植物性生ごみに比べると難分解である。種類による酸化分解のしやすさにも大きな相違はないが,動物性油脂類は肉類(魚を含む)より分解率が低く,中でも牛脂は最も酸化分解されにくい。また,すべての試料について酢酸が最後まで残存する有機物であることが明らかとなった。反応パラメータについて,反応時間10分で分解率が99%以上となる温度は,植物性生ごみの場合400℃以上,動物性生ごみ(魚を含む)の場合450℃以上であった。残存TOCは温度の上昇により酸化分解が促進され,また過剰の酸素供給によっても促進されるが,反応時間を長くすることによる効果は小さい。また,超臨界水密度(水充填率)がTOC分解率におよぼす影響は見られなかった。

キーワード: 生ごみ,廃棄物処理,超臨界水,湿式酸化,分解率

廃棄物学会論文誌,Vol. 10, No.5, pp.257-266, 1999

原稿受付 1998.11.19

* 東北大学大学院工学研究科地球工学専攻

連絡先:〒980-8579 仙台市青葉区荒巻字青葉01

東北大学大学院工学研究科地球工学専攻 榎本研究室 金  放鳴