飛灰を利用したごみ焼却排ガス中水銀の除去方法に関する実験
西 谷 隆 司*・福 永 勲*・伊 藤 尚 夫*・野 邑 奉 弘**
【要 旨】 ごみ焼却排ガス中の水銀を飛灰を利用してバグフィルターにおいて除去する方法について,実排ガスを使った現場実験を行った。そこでのバッチ実験によって,消石灰無噴霧の施設のEP灰は高い水銀除去能をもつことが確認された。各種運転条件のうち,温度が水銀除去率に最も大きな影響をおよぼし,200℃までは高率であった除去率が,250℃になると急激に低下した。この低下は高温水蒸気の影響と考えられた。さらにバッチ実験と同じEP灰を使った連続実験で,温度180℃において2時間経過したのちも,85%以上の水銀除去率が維持されることを確認した。HgCl2にもHg0にも安定した除去効果を持っており,急峻な高濃度ピークに対しても十分な除去率でカットすることができた。これらの実験結果から,排ガス中水銀の除去方法として本法が有効であることが実証された。
キーワード: ごみ焼却施設,排ガス処理,水銀,飛灰,バグフィルター
廃棄物学会論文誌,Vol. 10, No.6, pp.321-330, 1999
原稿受付 1999.1.6
* 大阪市立環境科学研究所
** 大阪市立大学工学部機械工学科
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大阪市立環境科学研究所 環境工学課 西谷 隆司