【論  文】

マイクロウェーブ抽出法による飛灰からのクロロベンゼン類,PCBsの抽出

高 岡 昌 輝*・高 田 純 一**・武 田 信 生*・藤 原 健 史*

【要 旨】 飛灰からクロロベンゼン類やPCBsなどの有機塩素化合物を抽出するために,マイクロウェーブ抽出法の適用を検討した。まず,抽出条件の最適化実験を行い,抽出温度120℃,抽出時間50分で高い抽出効果が得られた。次に,8種のごみ焼却飛灰に対して適用した。従来のソックスレー抽出と比べて約80%程度,超臨界流体抽出とは同等,もしくはそれ以上の抽出量を得ることができた。再現性についても,ソックスレー抽出および超臨界流体抽出と同程度であった。また,抽出量と飛灰中の未燃炭素量との関係から,クロロベンゼン類については未燃炭素含有量との間に高い線形の相関関係があることがわかった。未燃炭素量が増えるとソックスレー抽出に比べてマイクロウェーブ抽出は抽出率がやや減少する傾向にあったが,マイクロウェーブ抽出は抽出時間を短縮でき,使用する溶媒量も少なくできることから飛灰中のクロロベンゼン類,PCBsの抽出に十分適用できると考えられた。

キーワード: マイクロウェーブ抽出,超臨界流体抽出,PCBs,クロロベンゼン類,ごみ焼却飛灰

廃棄物学会論文誌,Vol. 10, No.6, pp.331-340, 1999

原稿受付 1999.4.30

* 京都大学大学院工学研究科環境工学専攻

** 新日本製鐵(株) 環境・水道事業部 環境プラント技術部

連絡先:〒606-8501 京都市左京区吉田本町

京都大学大学院工学研究科環境工学専攻  高岡 昌輝