【特 集:廃棄物についての全国での活動――研究委員会研究活動(消費者市民部会)――】

八丈町のデポジット

小宮山   建*

【要 旨】 八丈町デポジット事業は,アルミ缶,スチール缶,ペットボトルの飲料容器を対象にして1998年の9月1日に始まった。それは対象容器に識別シールを貼付し10円上乗せして販売した上で,消費者が空き容器を回収店に返すと10円を払い戻す仕組みである。実施後1年を経た本年8月までの累計で,デポジットをかけた容器の総販売量は130万本,総回収量は94万本となり,その回収率は72%に達した。販売した飲料容器が回収されるまでには1ヶ月前後の時間差があるため,実質的にはデポジットをかけて販売した容器のほぼ80〜85%が回収できていると推定される。デポジットのきわめて高い回収効果が短期間に実証された。また,このデポジット導入を契機に島内の環境意識が一挙に高まり,ポイ捨てが減少しただけではなく,ゴミの問題への全島あげての取り組みが始まっている。

廃棄物学会誌,Vol. 10, No.6, pp.396-398, 1999

原稿受付 1999.10.14

* 八丈町のゴミと環境を考える会

連絡先:〒100-1511 東京都八丈島八丈町三根1618