【特 集:廃棄物についての全国での活動――研究委員会研究活動(消費者市民部会)――】

家庭より発生する有害物,「特定家庭廃棄物」の処理について

大 黒   稔*

【要 旨】 家庭から排出される化学系有害廃棄物は,自治体の現行処理システムにはうまく吸収することができない。今は,曖昧な形で通常廃棄物に混合排出されていると推定される。これを分別回収し,化学系産業廃棄物専門の処理工場で処理するシステムを企画した。立案にあたって「家庭廃棄物についての有害概念が十分オーソライズされていない。」という,大きな問題にぶつかった。処理費用の性格付けや,自区内処理原則などいくつものハードルがあった。受け皿となる化学系産業廃棄物の処理工場が,自治体以上に受け入れ容量や慢性的な住民問題に悩んでいる状況もある。しかしそれらの障壁を越えて実現してゆく意義がある。PRTR制度の趣旨からみても,家庭から廃棄物として排出される化学物質は,決して無視できる量ではないからである。これらの状況を踏まえて,呼び名を家庭有害廃棄物ではなく「特定家庭廃棄物」とした。

キーワード: 特定家庭廃棄物,家庭有害廃棄物,クローズドシステム,小口産業廃棄物,化学系産業廃棄物処理工場

廃棄物学会誌,Vol. 10, No.6, pp.399-403, 1999

原稿受付 1999.9.30

* (株)ハチオウ 取締役技術部長

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