【論  文】

大学構成員の廃棄物の分別に関する認識度とそれを踏まえた分別収集システムの構築

――東京大学におけるケーススタディ――

鈴 木 慎 也*・横 山 道 子**・市 川   新***・山 本 和 夫**

【要 旨】 東京大学で新たに生活系廃棄物分別収集システムを構築する動きが起こり,工学部の一部で試行実施が行われた。分別収集には排出者の協力が不可欠であり,よりよいシステム構築の可能性を排出者の立場から見いだすことを狙うため,試行前後の2回にわたる構成員を対象としたヒアリング調査,カート内に排出されたごみの組成調査による分別状況の定期的な把握に努めた。その結果,ほとんどの構成員がごみの分別行動に対して協力する意図を持っており,試行されたシステムが全学的に整備されることで,大学内における生活系廃棄物のリサイクル率の飛躍的な向上が期待できることが明らかになった。試行実施に伴うカート内のごみの組成分析を通じてこのヒアリング調査結果との整合性が確認された。東京大学では本実態調査の結果を踏まえシステムの修正がなされ,より有効な分別収集システムがとられることになった。

キーワード: 試行システム,生活系廃棄物,ヒアリング調査,カート内ごみ組成調査

廃棄物学会論文誌,Vol. 11, No.1, pp.21-30, 2000

原稿受付 1998.4.16

* 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻

** 東京大学環境安全研究センター

*** 京都大学大学院工学研究科環境工学専攻

連絡先:〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1

東京大学環境安全研究センター内  鈴木 慎也