【報  告】

最終処分場の埋立土壌のための環境分析試料の作製と応用

西 川 雅 高*・白 石 寛 明*・吉 永   淳**・安 原 昭 夫*・中 杉 修 身*・埋立処分問題等研究会***

【要 旨】 埋立地土壌に関する標準物質は,世界的にも種類が限られ,特に含有量が保証されているものは入手困難な状況にある。そこで,3カ所の管理型最終処分場の埋立土壌等を混合して,環境分析試料No.1を作製した。また,引き続き,環境分析試料No.2も作製した。この2試料について高周波誘導結合プラズマ発光分析(ICP/AES)法,蛍光X線分析(XRF)法,中性子放射化分析(INAA)法,荷電粒子誘起X線分析(PIXE)法による分析値を基に,参考値および参照値を決定した。決定した元素種は,環境分析試料No.1(参照値:Ca, Fe, Si, Ti, Ba, Cu, Mn, Sr, V,参考値:Al, K, Mg, Na, Cr, Sc, Zn),環境分析試料No.2(参照値:Al, Ca, Fe, Mg, Na, Ba, Mn, Rb, Sr, Zn,参考値:K, Si, As, Cu, Sc, V)である。この作製した試料の化学組成と管理型最終処分場(2カ所)および安定型最終処分場(2カ所)から採取した底泥の化学組成との比較を例示した。

キーワード: 標準物質,化学組成,埋立地,底泥,溶出試験,最終処分場

廃棄物学会誌,Vol. 11, No.1, pp.80-86, 2000

原稿受付 1999.3.30

* 国立環境研究所

** 東京大学大学院新領域創生科学研究科

*** 事務局;国立環境研究所地域環境研究グループ 有害廃棄物対策研究チーム