【論  文】

廃棄物処理と再資源化の産業連関分析

中 村 愼一郎*

【要 旨】 財の生産と消費は不可避的に廃棄物を発生させる。静脈部門で適正処理・処分を経た廃棄物は,最終的に「環境負荷因子」として環境に放出される。静脈部門はその活動のために動脈部門からの財投入を必要とするが,一方で,それ自身廃棄物を発生させる。また,廃棄物再資源化は静脈から動脈への財供給である。動脈部門と静脈部門との間の財と廃棄物の循環を巡る,投入・産出・排出・処理・処分の相互依存関係を数量的に把握する分析装置として「廃棄物産業連関モデル」を開発した。1990年のわが国公表産業連関表等を用いて,52産業部門,24種類の廃棄物,および破砕・焼却から溶融・埋立までの廃棄物処理・処分部門からなる全国規模の廃棄物産業連関表モデルを推定した。応用として,広域化による集中処理・ごみ発電,廃プラスチックの高炉還元利用等が,産業生産活動・最終処分量・二酸化炭素排出量におよぼす効果を評価検討した。

キーワード: 産業連関,ごみ発電,広域化処理,プラスチック高炉還元利用,LCA

廃棄物学会論文誌,Vol. 11, No.2, pp.84-93, 2000

原稿受付 1999.9.13

* 早稲田大学政治経済学部 教授

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早稲田大学政治経済学部 中村愼一郎