【論  文】

住民参加を考慮した最終処分場の立地選定プロセスのシステム化

福 本 二 也*・古 市   徹**・石 井 一 英**・蛯 名 由美子**・花 嶋 正 孝***

【要 旨】 近年,最終処分場の建設が,地下水汚染への不安,立地選定への疑問,そして事業主体への不信感等を抱く住民の反対により困難になっている。その対策の一環として,平成9年の法改正により生活環境影響調査および調査結果の住民縦覧が義務づけられた。しかし,生活環境影響調査だけでは問題の解決にはならず,さらなる情報公開と計画への住民参加が望まれている。本研究では,中立的な立場において,地形地質条件に着目した立地選定手法を現実の処分場立地事例に基づき構築し,さらに住民参加を取り込んだ立地選定プロセスのシステム化を行う。さらに別の住民反対が生じた立地選定事例を通じて,本プロセスの構成方法と有効性を検証した。その結果,立地選定を行い,同時に適切な情報公開や説明会等の住民参加を行うことが,情報公開不足によって生じる住民反対,あるいは住民反対の拡大を予防し,住民理解の促進に資することを示すことができた。

キーワード: 最終処分場建設,生活環境影響調査,立地選定,住民参加,情報公開

廃棄物学会論文誌,Vol. 11, No.2, pp.101-110, 2000

原稿受付 1999.9.6

* (株)建設技術研究所

** 北海道大学大学院工学研究科

*** 福岡大学工学部土木工学科

連絡先:〒060-8628 札幌市北区北13条西8丁目

北海道大学大学院工学研究科環境資源工学専攻