【特集:建設廃棄物リサイクル】

建設廃棄物リサイクルの経済的側面

細 田 衛 士*

【要 旨】 最終処分場が枯渇しつつある現在,産業廃棄物のなかでも排出量,最終処分量ともに大きな割合いを占める建設廃棄物の発生抑制・排出抑制が求められている。建設解体工事における施主−元請け−下請けの重層性や静脈市場の未発達が,建設廃棄物の適正処理やリサイクルを妨げている。特に,建設混合廃棄物については最終処分費用が上昇し,受け入れが困難になりつつあるのに,リサイクルプラントに集荷されず,リサイクル率が低いままでいるという「建設混合廃棄物のパラドックス」という現象が起きている。この結果として,不適正処理や不法投棄が多発している。民間の活力を利用して,効率的なリサイクルを行うためには,静脈市場がうまく機能するよう行政がコーディネーターとして制約条件を整備することが必要である。また,最終処分場や総合リサイクルプラントの規模の経済性を考えるとき,行政が静脈インフラストラクチャとしてこうした設備を整えることも考慮すべきである。

キーワード: 逆選択,建設混合廃棄物,最終処分場,静脈経済,総合リサイクルプラント

廃棄物学会誌,Vol. 11, No.2, pp.105-116, 2000

原稿受付 2000.2.1

* 慶應義塾大学経済学部 教授

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