【総  説】

開発途上国の都市廃棄物管理

――都市廃棄物管理分野におけるより効果的な国際協力のために――

桜 井 国 俊*

【要 旨】 開発途上国の都市廃棄物管理の改善は,貧困・環境問題解決の柱の一つである。ODA予算の量的拡大が望めない今日,都市廃棄物管理分野の国際協力の質的改善,一層の効果的・効率的実施は,日本の廃棄物管理関係者の重大な責務である。廃棄物問題は「社会を写す鏡」であり,途上国とわが国の自然条件,経済条件,社会文化条件の違いを反映して,途上国の廃棄物問題は日本のそれとは様相を異にしている。したがって,日本の経験の一方的紹介はあまり効果がなく,途上国の廃棄物問題の特質を踏まえた協力が必要となる。そこで都市廃棄物を中心に,多くの途上国の廃棄物問題に共通する特質を俯瞰し,それに対処するための内外のノウハウの蓄積を概観し,今後の課題を抽出する。

キーワード: 開発途上国,都市廃棄物管理,政府開発援助(ODA),適正技術,途上国間技術協力(TCDC)

廃棄物学会誌,Vol. 11, No.2, pp.142-151, 2000

原稿受付 2000.1.17

* 沖縄大学人文学部教授(2000.4.1より)