【論  文】

廃棄物試料のエストロジェン様のMCF7細胞増殖活性・遺伝毒性評価

小 野 芳 朗*・加 納 佐江子**・青 井 健太郎**・山 田 正 人***・今 岡   務****・河 原 長 美*

【要 旨】 廃棄物試料のひとつである焼却灰,飛灰あるいは処分場浸出水中の有害物質のリスク管理にバイオアッセイを適用し,総合的にリスク評価をする必要がある。なぜなら,含有されると推定される未知物質の同定には時間がかかり,管理の迅速性と簡便性からバイオアッセイの適用は有用であると考えられるからである。また,近年着目されている内分泌攪乱性に関しても,こうした混合試料への適用生を早急に検討しなければならない。本研究では,遺伝毒性試験umu-testとエストロジェン様の細胞増殖活性をヒト乳癌細胞MCF-7で評価し,灰,浸出水の抽出物に適用した。また,エストロジェン様の活性は遺伝毒性に比して10−8小さい濃度で検出され,モニタリングの必要性を示すことができた。

キーワード: 飛灰,焼却灰,浸出水,エストロジェン様細胞増殖活性,遺伝毒性

廃棄物学会論文誌,Vol. 11, No.3, pp.126-134, 2000

原稿受付 1999.9.1

* 岡山大学環境理工学部環境デザイン工学科

** 岡山大学大学院自然科学研究科環境システム学専攻博士前期課程

*** 国立公衆衛生院廃棄物工学部

**** 広島工業大学

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岡山大学環境理工学部 小野芳朗