ホタテガイ加工残さの有効利用システムの開発
作 田 庸 一*・長 野 伸 泰*・富 田 恵 一*・若 杉 郷 臣*・斎 藤 隆 之*・嶋 影 和 宜**・北 崎 俊 盛***
【要 旨】 ホタテガイ加工場から大量に排出される中腸腺などのホタテガイ加工残さを飼肥料として有効利用する立場から,中腸腺に蓄積されている有害なカドミウムを酸浸漬しながら電解操作を行う除去処理技術の開発を行った。本研究では,これらカドミウム除去処理法において,その除去効率におよぼす諸因子の影響について検討した結果にもとづき,100kg/バッチ処理のカドミウム除去実証プラントを設計・試作し,実証試験を行った。その結果,実証プラントにおいて整流器や浸漬槽などの改善を図ることにより,加工残さ中のカドミウム濃度を5mg/kg(乾重量ベース)以下に低減することができた。また,ランニングコスト低減のため一定時間酸浸漬後電解を開始する操作システムを開発するとともに,繰り返し運転における留意点を明らかにした。さらに,析出した重金属の最終処分法として析出物を溶解後沈殿回収し,鉱物資源として再利用する方法を示唆した。
キーワード: ホタテガイ中腸腺,カドミウム,除去技術,電解,飼肥料
廃棄物学会論文誌,Vol. 11, No.3, pp.145-154, 2000
原稿受付 1999.10.1
* 北海道立工業試験場
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北海道立工業試験場化学技術部 作田 庸一