PCBの処理技術
――化学処理を中心として――
細 見 正 明*
【要 旨】 PCBの製造および輸入の禁止,開放系での使用禁止,回収などの措置を受けてからすでに28年が経過した。使用中あるいは保管されているPCBを含む電気機器から環境への放出が懸念されている。一方で,廃棄物処理法では,焼却法だけではなく,脱塩素化分解法と超臨界水酸化分解法がPCB処理法として認められた。
本文では,PCB汚染問題の経緯と化学処理技術の概要をまとめた上で,今後の課題として,PCB問題をダイオキシンの観点から見直す必要性を示すとともに,PCB汚染物の処理技術として溶媒洗浄法や真空加熱分離法などの実用化に向けて課題を抽出した。
キーワード: PCBs,廃PCB,PCB汚染物,脱塩素化分解法,超臨界水酸化分解法,溶媒洗浄法,真空加熱分離法
廃棄物学会誌,Vol. 11, No.3, pp.197-209, 2000
原稿受付 2000.5.11
* 東京農工大学 教授
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