ホタテガイ廃棄物からのカドミウム除去効率に及ぼす諸因子の影響
作 田 庸 一*・長 野 伸 泰*・富 田 恵 一*・若 杉 郷 臣*・斎 藤 隆 之*・嶋 影 和 宜**・北 崎 俊 盛***
【要 旨】 ホタテガイ加工残さを飼肥料として有効利用するには,中腸腺に蓄積されている有害なカドミウムを除去して飼肥料としての規制値以下の含有量にする必要がある。本研究では中腸腺などを低濃度酸性溶液に浸漬しながら電解操作を行うことによるカドミウム除去法における最適条件について検討した。その結果,酸浸漬−電解法におけるカドミウム除去効率に及ぼす諸因子の中で,カドミウム浸出プロセスにおいては,予想されたように中腸腺形状の影響が大きく,乾燥粉末化することにより浸出速度は大幅に早まり,カドミウム除去時間は約半分(8時間)に短縮された。また,カドミウム析出プロセスにおいては,陽極材料は酸化イリジウムおよび白金族酸化物被覆チタン板が適していることが分った。さらに,本電解システムではカドミウム析出に最低電解電圧として3.2Vが必要であり,それ以下ではカドミウムは析出せず,一度析出したカドミウムが再溶解することが判明した。
キーワード: ホタテガイ中腸腺,カドミウム,除去技術,電解,飼肥料
廃棄物学会論文誌,Vol. 11, No.4, pp.187-194, 2000
原稿受付 1999.8.23
* 北海道立工業試験場
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北海道立工業試験場化学技術部 作田庸一