【論  文】

家庭系ごみ流れの推定に関する研究

松 藤 敏 彦*・田 中 信 壽*

【要 旨】 市町村のごみ量,資源化率といった数値は,ごみ量集計が家庭系と事業系の区別を明確にしてなされていないこと,自治体が把握している資源回収量のみで資源化率が算出されていることのため,ごみ処理状況を正しく評価するための指標とはなっていない。自治体のごみ処理に関する施策を正しく評価するためにも,発生源を区別し,ごみとしての収集以前の不要物発生からの「ごみ流れ」を把握することが必要である。本論文は家庭系ごみ流れの把握を目的とし,新たなリサイクルによって生じるごみ流れを表現するため,28種類の組成分類を提案し,ごみ流れモデルを示した。次に,製品の生産量データ,自治体のごみ処理,資源回収実績データをもとに,一人一日あたり不要物発生量の推定方法を説明し,仙台市におけるごみ流れを推定した。最後に,ごみ流れ把握のためになすべきデータ収集を整理した。

キーワード: ごみ流れ,家庭系ごみ,ごみ組成分類,発生源,不要物発生量

廃棄物学会論文誌,Vol. 11, No.4, pp.214-223, 2000

原稿受付 2000.2.7

* 北海道大学大学院工学研究科環境資源工学専攻 廃棄物処分工学分野

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