【特集:PRTRの活用】

PRTR制度の意義と廃棄物等の管理への今後の活用

浦 野 紘 平*

【要 旨】 1999年7月に,通称PRTR法が成立したことによって,従業員数20人以上の全製造業や廃棄物処理業,試験研究機関等からのダイオキシン類を含む354種類の第1種指定化学物質の環境への排出量と廃棄物としての移動量が2002年に報告され,公開されることになった。そこで本稿では,この日本のPRTR法の制定までの経緯をみながら,PRTR制度によって,事業者,行政,環境NGO等が何ができ,どう変わることが求められているのかを述べ,さらに,今後,廃棄物等の管理にどのように影響し,PRTRデータや関連する情報をどのように活用したらよいのか,どのような課題があるのかについてまとめて論じた。

キーワード: 化学物質,PRTR,MSDS,廃棄物管理,循環資源

廃棄物学会誌,Vol. 11, No.4, pp.251-256, 2000

原稿受付 2000.5.30

* 横浜国立大学工学部環境安全工学研究室

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