清 水 利 晃*・安 田 八十五**・大 矢 仁 史***・稲 葉 敦***
【要 旨】 ビデオテープカセットは現在大量に製造されているが,将来他の記録メディアに移行した際に大量に廃棄されることが考えられる。しかし現状では,ビデオテープカセットの廃棄後の処理方法は明確になっていない。ビデオテープカセットを材料として再利用するためには,破砕または解体による分離という単一材料への分離工程が必要となる。本研究ではこれら2種類の材料分離方法を組み合わせ,6通りの処理シナリオをたてた。実際にビデオテープカセットを破砕,解体した実験結果より,ビデオテープカセットの破砕または解体分離に関するデータを得た。6通りの処理シナリオに関して,再生材料の使用によるビデオテープカセットの再生産を考慮して,二酸化炭素排出量と処理に掛かる費用を算出した。その結果,ビデオテープカセットを全て破砕し材料として再利用する方法が,最も二酸化炭素排出量が少なく,また処理に掛かるコストも少ないことが示された。また解体分離を行い,取り出した部品を再利用する場合には,現状の53%以下の時間で解体を行うことができれば,破砕分離による材料の再生と同等の二酸化炭素排出量となることが示された。
キーワード:ビデオテープカセット,解体性,破砕,LCA,処理コスト
廃棄物学会論文誌,Vol. 11, No.5, pp.241-250, 2000
原稿受付 1998.11.13 原稿受理 2000.6.12
* 筑波大学大学院環境科学研究科
** 筑波大学社会工学系
*** 資源環境技術総合研究所
資源部エネルギー評価研究室
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株式会社 野村総合研究所 流通システム一部 清水 利晃