松 藤 敏 彦*・田 中 信 壽*・澤 石 直 史**
【要 旨】 家庭系ごみ収集量は自治体のごみ処理計画において重要な数値であるが,都市によって大きな違いがある。筆者らはこれまでに,その原因を探るための研究を行ってきたが,限られた地域を対象としていたため,そこで得られた結論の一般性を主張できなかった。
本論文では13大都市を対象とし,まず自治体のごみ収集量,行政区別の収集量データを用いてその原因を考察した。さらに,家庭における不用物発生量,品目ごとの排出先・処理方法の定量的把握を目的として6行政区の住民へのアンケートを行った。
その結果,家庭からの基本的なごみ排出量には都市間で差がなく,収集量の多い行政区は,事業系ごみの混入による見かけ上の増加にすぎないこと,広島市のごみ収集量が少ないのは事業系ごみの排除,および自家処理と活発な資源回収によることを明らかにした。
キーワード:家庭系ごみ,収集量,13大都市,アンケート
廃棄物学会論文誌,Vol. 11, No.5, pp.261-270, 2000
原稿受付 1998.12.7 原稿受理 2000.6.26
* 北海道大学大学院工学研究科環境資源工学専攻
廃棄物処分工学分野
** (株)循環社会研究所
連絡先:〒060-8628 札幌市北区北13条西8丁目
北海道大学大学院工学研究科環境資源工学専攻
松藤 敏彦