【論  文】
多組成廃棄物のサンプリング方法による試験値のばらつきの解析

田 崎 智 宏*・浦 野 紘 平*

【要 旨】 従来のサンプリング方法による試験値のばらつきの推算式は,廃棄物を単一組成とみなしたものであり,プラスチック,繊維,金属などのさまざまな組成からなる多組成廃棄物に適用するには十分なものではない。本研究では,多組成廃棄物について溶出試験や含有量試験などの各種の試験を行う場合に,サンプリングした試料の組成のばらつきが試験値のばらつきに及ぼす影響を統計理論によって解析した。その結果,多組成廃棄物のサンプリング方法による試験値のばらつきを多組成の程度を示す試料に固有なサンプリングパラメータと容易に測定できるサンプリング重量,試料の粒径,平均見かけ密度とで表す推算式を提示できた。この式を用いて,サンプリング重量,サンプリング回数,廃棄物の粒径分布,平均見かけ密度のいくつかの典型的な値について試験値のばらつきを求め,サンプリング方法が多組成廃棄物の試験値のばらつきに与える影響を明らかにした。

キーワード:サンプリング,多組成廃棄物,ばらつき,溶出試験,含有量試験

廃棄物学会論文誌,Vol. 11, No.5, pp.280-289, 2000
原稿受付 2000.1.12  原稿受理 2000.7.24
* 横浜国立大学工学部
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