【特集:有機性廃棄物のリサイクル】
有機性廃棄物の資源化技術――嫌気性消化によるメタン回収――

河 村 清 史*

【要 旨】 循環型社会の形成に向けて廃棄物管理に係わる各種の法制度が整えられつつある現在,有機性廃棄物の資源化が大きな課題となっている。しかしながら,とくに一般廃棄物については,焼却処理を適用したシステムが広く成立しており,有機性廃棄物の分別収集や再生品の利用のための社会システムが形成されておらず,また十分に成熟した有機性廃棄物の資源化技術が整っておらず,対応を難しいものにしている。
本稿では,有機性廃棄物の再資源化技術について若干の考え方を述べるとともに,検討されている資源化技術について,有機性廃棄物の種類と資源化物の組み合わせを紹介する。また,嫌気性消化については,その原理,メタン回収から見た有機性廃棄物の特性,開発・普及が進められている固形廃棄物を対象とした嫌気性消化の概要とわが国での適用事例等を整理する。

キーワード:有機性廃棄物,資源化技術,メタン回収,低濃度タイプ嫌気性消化,高濃度タイプ嫌気性消化

廃棄物学会誌,Vol. 11, No.5, pp.344-354, 2000
原稿受付 2000.8.7
* 埼玉県環境科学国際センター・研究所長
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