【報  告】
環境科学は責任ある成果を遺せるか――いわゆる環境ホルモン問題のロールプレイを通じて――

滋賀県立大学大学院環境計画学専攻 環境政策ゼミ生グループ
乾   正 樹*・加 藤 大 昌*・説田   寿*・田 辺   知*永 田 賢 治*・村 上   悟*・森田 健太郎*

【要 旨】 本論は,環境ホルモン問題へのアプローチとして,疑似社会実験であるロールプレイを採用し,大学院生により調査実験したものである。可能な限り現実の錯綜した絡み合いをそのまま引きずった中で問題構造を見据えていくことを目指し,市民による取り組みの過程を擬似的に試行したものである。
ロールプレイを実施検証して,あげられた環境ホルモンの持つ問題点は,「@社会不安としての環境ホルモン問題」「A政策決定の困難」「B市民の知識向上」「Cハザードとリスク」「Dmediator(橋渡し役)の必要」の5つに集約された。この結果より,市民の意思決定を支援する枠組みとして,「身体の環境ホルモン汚染度の測定」「商品の成分表示」「市民情報センター」「環境コピーライター認定制度」「環境ホルモン家計簿」「環境ホルモン保険の創設」「環境配慮型ライフスタイルのスターの発掘」「“仲居ネット”の創設」を提言した。

キーワード:政策提言,市民参加,環境ホルモン,大学院演習,ロールプレイ

廃棄物学会誌,Vol. 11, No.5, pp.366-377, 2000
原稿受付 2000.6.2
*滋賀県立大学 環境科学部 環境計画学科 助教授
連絡先:〒522-8533 彦根市八坂町2500 近藤 隆二郎