触媒分解法による焼却排ガス中のダイオキシン類の除去
二 宮 一 朗*・上 田 一 恵*・田 中 一 正**・地 下 正 伸**・網 本 博 孝**・田 井 和 夫*
【要 旨】 近年,環境への排出が問題になっている焼却排ガス中のダイオキシン類(DXNs)の除去を触媒法により検討した。DXNsのモデル化合物としてモノクロロベンゼン(MCB)を用いて本触媒の特性を確認した。MCBの分解反応はMCB濃度の一次反応であり,200℃における反応速度定数は170℃の時に比べ1.4倍であった。本触媒にて実稼働中の全連続燃焼式ストーカ炉焼却排ガスの一部を用いて,DXNsの分解挙動の解析と触媒の耐久性評価試験を行った。その結果,ガス流通初期からDXNsに対して高い分解活性を示し,16,500時間経過後においてもTEQ換算で95%以上の分解率を示した。また,排ガスの処理条件を検討した結果,170〜240℃の温度領域では高効率に分解が行え,さらに,本研究における触媒分解反応は混合拡散モデルによる計算結果でよく説明でき,反応温度および線速度の影響を明らかにすることができた。
キーワード:ダイオキシン類,触媒分解,耐久性評価,モノクロロベンゼン,混合拡散モデル
廃棄物学会論文誌,Vol.11, No.6, pp.307-313, 2000
原稿受付 2000.2.24 原稿受理 2000.8.8
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