マテリアルフロー調査による容器のリサイクル率の検討
寺 園 淳*・乙 間 末 広*・森 保 文*
【要 旨】 飲料用を主とする容器に関しては,消費段階以降のマテリアルフローが明らかでなく,排出量あたりのリサイクル率は十分把握されていない。そこで,容器の排出量あたりのリサイクル率を把握することを目的として,マテリアルフロー調査を実施した。首都圏のY市におけるスチール缶・アルミ缶・ガラスびん(ワンウェイびん)の収集・回収量を調査して積み上げた結果,消費量の81〜110%のフローを把握することができた。また,業者内の歩留りを把握しながら,消費後の排出量のうち実際に再生メーカーに搬入された量を試算し,排出量あたりのリサイクル率を得ることができた。本調査によるマテリアルフローに基づく排出量あたりのリサイクル率は,一般に報告されているリサイクル率とは定義が異なり,品目によっては50%以下という低い値となることがわかった。これらの試算を通じて,リサイクル率の定義について検討し,マテリアルフローの重要性を指摘した。
キーワード:マテリアルフロー,容器,リサイクル率,排出量あたりのリサイクル率
廃棄物学会論文誌,Vol.11, No.6, pp.314-323, 2000
原稿受付 2000.1.18 原稿受理 2000.8.24
*国立環境研究所 社会環境システム部
連絡先:〒305-0053 茨木県つくば市小野川16-2
国立環境研究所 社会環境システム部 寺園 淳