【特 集:廃棄物管理と試験・検査法―研究委員会研究活動(廃棄物試験・検査法)―】
廃棄物試験・検査法の現状と将来展望
大 迫 政 浩*・小 野 雄 策**・谷 川   昇***・山 田 正 人*
【要 旨】 現在の廃棄物の試験・検査においては,通常の環境汚染の把握・評価に加え,有害廃棄物の管理や最終処分方法の選択の判断基準として有害物質の溶出試験が利用され,さらには焼却処理の設計・維持管理にごみ質の組成分析が用いられている。しかし,廃棄物を巡る状況が大幅に変化し,循環型社会の形成に向けたリサイクルシステムの構築や,ライフサイクル全体での物の量と質の管理が強く要請されてきており,新たな視点での試験・検査法の確立が望まれてきた。本稿では,廃棄物試験・検査法の現状について課題を整理するとともに,新たな時代の要請に応える試験・検査法の将来展望について,試験・検査法のカバーする範囲,目的および備えるべき要件の観点から総論的に述べ,さらにごみ質,化学性状およびバイオアッセイに関する観点から具体的に論じた。
キーワード:試験検査法,一般廃棄物(ごみ),産業廃棄物,有害廃棄物,バイオアッセイ,リサイクル
廃棄物学会誌,Vol.11, No.6, pp.396-404, 2000
原稿受付 2000.10.16
*国立公衆衛生院
**埼玉県環境科学国際センター
***東京都環境科学研究所
連絡先:〒108-8638 東京都港区白金台4-6-1
国立公衆生院 大迫政浩